これまで私自身が同じ経験を何度かした中でも、
特に印象に残っている出来事がある。
日本からフランスに帰る時私は通常、サムソナイトの超特大
スーツケース2個に、機内持ち込み用のスーツケース1個、
肩にはiPadが入る大きなショルダーバッグを担ぐという
最近あまり見かけない”一昔前のお上りさんスタイル”で
移動している。しかも、各々のスーツケースの重量は
規定の重さ限界までしっかり詰め込んでいる。
日本に居る時と遜色ない和食をフランスで作ろうとすると、
必然的にこうなってしまう。
こんな事を繰り返していたある日の事だ。
ゆうに80才は超えていると見受けられる、腰の曲がった
ご年配のマダムから、「あら、沢山の荷物大変そうね。
持つの手伝いましょうか?」と、声をかけられたのだ。
流石に私はお礼を言って丁寧にお断りをしたのが、
フランス人女性の、いくつになっても変わらない、
”博愛の精神”を見た気がした。
この時はマダムがご年配であったから特に印象に残っているが
女性が私を助けてくれたケースは、もう数えきれない程ある。
例えば、珍しく雪が積もった日のパリでの事。
荷物を抱えて階段を下りていた私に、下から登って来ていた
女性が、急いで駆け上ってきてくれて、私の荷物を抱えて
一緒に階段を下りてくれたのだ。
雪の日でダイアが乱れていたあの日、きっと彼女も急いで
いたにちがいなかっただろうに。とても感謝した。
それからこんな事もあった。
CDG駅で下車した時の事だ。
駅の停車時間は短いので、多荷物の私は、早めにドアの
前に陣取っていた。駅に着いてドアが開いたその時だ。
体格の良い一人の女性が、まず駅に降りて、私の荷物を
次々にホームに置いてくれた。”私がどかないと後ろの人が
下りられないから、じゃまだったんだな~”と思った。
だから当然彼女はCDG駅で降りるのだと思った。
が、なんと! 彼女は私の荷物を降ろし終えると、
再びTGVに乗り込み、二階へと駆け上がっていった。
「merci!」と言った私の声が聞こえただろうか?
私がアタフタしている間に、TGVは発車してしまった。
もっとお礼が言いたかった。
自分に全く関係ない事でも、困っている人を見ると
助けてあげようとするその”博愛の精神”
こんなところ、フランス人女性を見習いたいとつくづく思う。
(只、フランス女性でも、若い人からはそれをあまり
感じられないかも?う~ん)
※写真は去年の7月。成田での出発時の私の荷物。
この時は連れがCDG空港まで迎えに来てくれたので、
特大スーツケース3個持ちが可能だった。
さて、あと何回こんなに多くの荷物を運べるかな~。
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